第三章

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「ごめん。帰るね」 ひとしきり笑った後、ベッドから降りようと足を床に下ろしたが、彼のベッドは自分のベッドよりも高かった。 そのため爪先が宙を蹴り前のめりに転びそうになる。 そんなあたしの体を逞しい腕と大きな手が支えた。 「そんなんで帰れるか。一晩そこ貸すから朝まで寝てろ」 彼はあたしがまだ酔っていると思ったらしくそのままベッドへ戻された。 「ねえ、もし彼女が来たら勘違いされちゃうんじゃない?」 戻されたベッドの上からニヤリとしながら言うと、行きかけた彼は振り向き睨んできた。 「ばーか余計なお世話だ。んなこと考えてないで子供は早く寝ろっ」 彼は昔と同じ様にベーっと舌を出しドアをばたんと閉めた。 一人残された部屋。 モゾモゾとベッドに潜り込むと懐かしい彼の匂いがした。 その匂いに顔をニヤケさせ目をつむった。
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