第1章

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二体のお地蔵さんは、 仲良しで、 この寂しい峠で励まし合い、 いたわりながら暮らしています。 今は真冬、 辺り一面白い真綿で埋めたように真っ白な世界です。 時々辺りの木々から、 ドサッと雪が落ちて、 深々と雪が降り続く鉛色の静寂とした峠にカツを入れるように音が響きます 二体のお地蔵はもうこの峠にきてから20年近く経ちます。 お地蔵の話し声がきこえます。 人間たちにはお地蔵さまの声は聞こえません。 なぜならば、 生きている人間はいいにつけあしきにつけ、 欲望、 煩悩の世界で生きているから、 お地蔵さんの大宇宙にもとずく考え方と、 ちょっとかけ離れているからです。
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