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降り始めた雨はみるみるうちに勢いを強めて。
通り過ぎる人はみんな振り返り、俺を訝しげな目で見ていく。
その中には見知った顔もあったけど、ずぶ濡れなまま動かない俺にひいているのか、気付かないフリをして通り過ぎていった。
そりゃそうだ。
朝からテレビでは荒れ模様だから必ず傘を持って外出するようにって、笑顔を張り付けたキャスターが言ってたんだから。
予報は的中。
せっかく完璧にセットした髪もぐちゃぐちゃになっていた。
けど、今はそんなのどうだっていい。
「俺、バカだよなぁ……」
あいつの優しさに甘えて、自惚れて。
ガキ臭いことしか出来なくて。
いつだってそこにあるもんだって思い込んでた。
少しだけ眉を下げながらも、それでも最後には笑ってそばにいてくれるんだって。
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