第1章 物語の世界・1

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 川原から街道へと戻った私達は、道なりに進んでいった。  天気も良く、散歩にはもってこいなのだが……。二人の歩くペースが速すぎて、私は時々小走りしながら後をついていく羽目になった。 (は、速いよ~!)  置いてきぼりにされてはたまらないと必死に歩いていると、  ――ぼふっ!  前を歩くエルシスにぶつかってしまった。 「あ、ゴメン! 急に止まったから」 「ううん。大丈夫。どうかした?」 「いや、歩くの速いかなって思って」 「え?」 (そっか。気付いてくれてたんだ)  私は少しだけ嬉しくなって顔がゆるむ。 「!」  だが、隣のイザベラの視線が痛くて、またすぐに元の表情に戻ってしまった。 「歩き慣れてないのは分かるけど、甘やかすのもほどほどにしなさいよ」 「甘やかすなんて……。俺はただ――」 「自分の目的を忘れた訳じゃないわよね?」 「……忘れてないよ」  険悪な雰囲気に、私はオドオドしながら見守った。 「あなたには、この世界を救う使命があるのよ? 本当なら、こんな所で道草食ってる場合じゃないんだから」 「分かってるよ。けど、困ってる人を放ってはおけない」 「……まったく。これだから、子供は嫌いなのよ」  イザベラはフイと横を向いた。 「女王陛下からの直々のご命令だったから受けたけど、本当は嫌だったのよね」 (えっ? そうだったの?)  作者である自分も知らない思いに、私は驚いてイザベラを見た。
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