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川原から街道へと戻った私達は、道なりに進んでいった。
天気も良く、散歩にはもってこいなのだが……。二人の歩くペースが速すぎて、私は時々小走りしながら後をついていく羽目になった。
(は、速いよ~!)
置いてきぼりにされてはたまらないと必死に歩いていると、
――ぼふっ!
前を歩くエルシスにぶつかってしまった。
「あ、ゴメン! 急に止まったから」
「ううん。大丈夫。どうかした?」
「いや、歩くの速いかなって思って」
「え?」
(そっか。気付いてくれてたんだ)
私は少しだけ嬉しくなって顔がゆるむ。
「!」
だが、隣のイザベラの視線が痛くて、またすぐに元の表情に戻ってしまった。
「歩き慣れてないのは分かるけど、甘やかすのもほどほどにしなさいよ」
「甘やかすなんて……。俺はただ――」
「自分の目的を忘れた訳じゃないわよね?」
「……忘れてないよ」
険悪な雰囲気に、私はオドオドしながら見守った。
「あなたには、この世界を救う使命があるのよ? 本当なら、こんな所で道草食ってる場合じゃないんだから」
「分かってるよ。けど、困ってる人を放ってはおけない」
「……まったく。これだから、子供は嫌いなのよ」
イザベラはフイと横を向いた。
「女王陛下からの直々のご命令だったから受けたけど、本当は嫌だったのよね」
(えっ? そうだったの?)
作者である自分も知らない思いに、私は驚いてイザベラを見た。
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