耳鳴り

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 仕事の都合もあり。元から友人が少ない私は、友人らと示し合わせる事が出来ず。  それでも一人で行くのは心細かったので、とある掲示板でスレッドを建てました。 『季節外れの肝試ししませんか?』  予定する心霊スポットや待ち合わせ場所と一緒に、一応捨てアドレスを記載しておいたのですが。  結局悪戯のメールすらも入らず当日を迎えて、誰か来ていたらと念のために待ち合わせ場所へ向かいました。  到着は予定より10分程早かったのですが、心霊スポットの最寄りのコンビニという事もあり。  辺りはやけに静かで、私以外には店内から私をチラチラと伺う店員しか居ませんでした。  昨日までの夜は冷え込んでいた癖に、何故か今日は生暖かい風が吹いていて。途端に心細くなり、もう止めて帰ろうかとも思った時でした。 「あ、スレ主さんですか?すみません遅くなって、間に合って良かったぁ」  いきなり声を掛けられて驚きながら振り向くと、私と同い年くらいの青年が笑顔で立っていました。  少し色白で茶色の髪をちょっと長めにした、所謂ジャニーズ系とでも言うんでしょうか。  私はそういった華やかな方があまり得意では無く、短くどうもと告げただけで会話は途切れてしまいました。 「季節外れですからね、他にあと何人来るやら……もう少ししたら行きますか?」  気まずい沈黙の中、不意に腕時計に視線を落とした彼が問い掛けて来ましたが。私は頷く事も出来ずに、なんとなく二人きりは嫌だなぁと。 「それともお開きにします?やっぱ人数いなきゃ怖いですからね」 「あ、いえ、行きますっ!」  お開きと言われ、私は何故かすぐさま行くと答えてしまいました。  恥ずかしながら。私にとっては肝試しでなく、取材との思いが強くて、休みの日に此処まで来て帰るなどと思っていたのです。  そんな私の胸中を見透かした様に、彼は苦笑いを一つ溢して。 「それじゃあ、行きましょうか。でも俺ビビりなんで、ヤバイと思ったら帰ります」 「帰っちゃうんですか?」 「はは、じゃあその時は一緒に引き返してくれますか?」  私は一応頷いて応えましたが。自分から言うくらいなので、もしあまりに切り上げが早いようなら一人でも奥まで行こう。そう思っていました。
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