202人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
「じゃあさ、結婚は？予定無いの？」
「へ、ぇっ！？」
「だって、片想いだったつっても、同級生なら最近知り合った人と違ってもう結構お互いのこと知ってるって感じじゃん。そう言うのと違ってもう回りくどいことしなくてもどーんと結婚しちゃえばよくない？」
「い、いやその予定は別に……ていうか、付き合ってまだ３ヶ月経たな、い、……し」
グラスの中で吐き出しかけて口の周りに飛んだカクテルを拭きとり、冷や汗を掻きながら目をそらす。
交際→結婚。
こんな当たり前のような簡単な流れを、どうして忘れていたんだろうか。
いや、忘れていたわけではない。
だけど、晴翔が「とりあえず彼女から始めてみないか」と宣言してまだ日が浅い。
ずっと片想いだったわけだし、今更確認するわけでもないが、相手はあの当時からの人気者の「片桐くん」なのだ。
彼女になった今、そんな遠慮すること自体馬鹿げているのかもしれないが、どうも自分からそんな壮大なテーマを持ってグイグイいく自信は無い。
最初のコメントを投稿しよう！