片想いの恋愛事情

片想いの週末事情

残念なことに席替えを何度しようと誰かの策略ではないかと言うくらい近くの席になれたことは無かったし、林間学校に修学旅行に文化祭、何度グループ分けのくじを引こうとこれまた誰かの策略ではないかと言うくらい関われるポジションになれたことは無かった。

そんなわけで、クラスメートであったにもかかわらず、もしかしたら彼の記憶の片隅にすら残っていないのではないかとさえ思っていたのだが。

―――”………もしかして、佐伯、か？”

再会は、実に唐突に果たされた。

その瞬間、妙に心臓が跳ねたのを覚えている。

すごく驚いて、でもそれでも何とか振り返ってみれば、そこにはかつて思いを寄せていた相手が立っていた。

動揺しつつもとりあえず頷けば、ほとんど口も利いたことがない中学時代とは打って変わって親しげな笑顔で話しかけられた。

その時はただ、呆然としながらもひたすら彼の話に頷いていた気がする。

それから数ヶ月。

葵はなぜか、その晴翔のアパートでこうして夕食をご馳走になっている。