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不機嫌にため息をついて、グラスのお茶を口にしながら晴翔に背を向ける。
「何だよ、感じ悪ぃな」
「どーせ……」
そのことを、晴翔はどう思っているんだろう。
そもそも、葵の気持ちに気付いているんだろうか。
鋭いから多分気付いているだろうけど。
……でも、それでも晴翔は押しも引きもしない。
こんなに沢山2人でいる機会が多いのに、一度たりとも手を出してくることは無かったし、かといって2人の関係について言及することも無かった。
「ご馳走様でした」
「お粗末様。……もう帰んのか?」
「うん」
おかげで元々恋愛に対してはあまり積極的な方ではない葵は何も出来ずにいる。
その結果、未だに晴翔からの誘いを受ける一方で自分の部屋に呼ぶなんて勇気は無いし、それどころか彼女の有無すら聞けずにいる。
でも、それでも今日こそは―――……
「………ハル、」
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