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アスティスのインディゴブルーがふっと伏せられ、長い睫毛が近付く。
ティルアもそっと瞳を伏せる。
後頭部の髪に触れる手がティルアを引き寄せ、もう一方の手が肩にそっと置かれた。
唇に柔らかいものが触れた。
彼の唇に触れられている――そう感じるだけで、ティルアの心は温かいものて満たされる。
ふっと一瞬だけ離れた唇が今度はより深くまで入り込む。
ティルアの扉をそろりと開き、温かいものが挿入される。
彼を受け入れるようにティルアは彼の首に腕を回した。
触れ合う度に、ゾクゾクと身体が熱を求めて疼き出す。
熱をとろりと絡ませ、互いに引き寄せ合い、求め合う。
「ふぁ……あぁ……」
溶けるような心地よさに口の端から零れる喘ぎ声。
力が入らなくなるティルアの身体を支えるアスティスの腕は緩むどころか、より一層強まる。
角度を幾つも変え、落とされる甘い甘い唇。
薄く瞳を開いたティルアのルビーにインディゴブルーが映る。
ティルアの視線に気付いた彼の瞳がふっと笑んだ。
くらくらと目眩に似た胸の高鳴りに動悸が一層速くなる。
「ふぁ……ぁん、 ああ……」
幸せに満たされ、震える身体。
そっと糸引き、唇が離れる。
ぼうっとしながら呼吸を速めるティルアの身体がふわりと浮き上がった。
彼の腕が華奢なティルアの身体を軽々と抱き上げる。
すぐそばにある彼の表情は相変わらず優しさに溢れていた。
金の髪を梳くように触れる。
くすぐったそうに笑う彼の笑顔が愛しくて、彼の両頬にそっと触れた。
「だい……すき……アスティス」
心が飛び跳ねそうになって、形にして言葉に出すと、照れ臭かった。
そんなティルアを見つめる彼の顔はとろりとろけそうな幸せ色に染まる。
「俺も……俺も大好きだよ、ティルア」
胸がいっぱいになったティルアは紅玉の瞳を涙で濡らした。
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