37人が本棚に入れています
本棚に追加
「ティルア……可愛い。
だめだ、やっぱり可愛い、可愛い……!」
「っ……もう、からかわないで……」
ベッドサイドに隣り合わせのアスティスはティルアを抱き寄せ、愛でる。
真剣な悩みをバカにされたような思いがして拗ねるティルアの手がアスティスに掴まれた。
包み込むように支える手に手繰り寄せられ、ティルアの手の甲に彼の唇が触れる。
どくんとまた一つ心臓が音を立てる。
彼のインディゴブルーがティルアの心を大きく揺さぶる。
唇から覗く赤いものが手の甲から指の間へと撫でるように這う。
「あ、……アスティス……」
じんわり灯っていくぞくっとする感覚が再度ティルアの欲を呼び起こす。
「ティルアの……手、指先。
綺麗だ、可愛い。
いつも君の可愛い手が俺の背に回る度に俺がどれだけ心を乱されているか……君は知らないだろうね」
「はぁ……アスティス、ゾクゾクする……やっ」
真っ赤に顔を紅潮させながら、潤んだ瞳で見上げるティルアに彼はふっと笑う。
「ここかな……?」
「ひゃ――やだっ、恥ずかしいよ……」
反応を窺ってくる彼は、ぼうっと浮いた意識のティルアに一瞬だけ強い眼光を見せる。
「その顔には……俺のことが大好きで大好きで仕方ないって書いてある。
キスだけでは物足りない……?」
「えっ、えっ、えっ、あの、えっ」
悶々としたものをぼんっ、と一気に爆発させ、ティルアは慌てて視線をあちこちへと泳がせる。
もう一方の自由な手で二の腕をぎゅむっと掴む。
彼のインディゴブルーを前にして、何もかもとろけてしまいそうだった。
力が抜けるその手でクロークの留め具をパチンと外す。
パサッ、と音なき音を立てて隠れ蓑がベッドに沈んだ。
「……ティルア」
クロークの下は姉が用意してくれたリボンがふんだんにあしらわれた艶桃色のネグリジェ。
瞳を見開く彼の眼が熱い。
「お、お願い……。
は、はしたないって……思わないで。
抱いて……アスティス……」
彼の顔が崩れる。
パッと離された手に不安を覚えるも。
「そんなこと……思うわけがない。
ティルア、俺も……俺も君と同じだから」
ティルアの背に彼の手が回る。
優しい手付きでベッドに下ろされた。
見上げるすぐそこに月明かりを逆光に受けて仄かに明るむ彼の姿が映る。
最初のコメントを投稿しよう!