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裏口は厨房と繋がっていた。中を覗くと調理の真っ最中で、良い香りが漂ってきた。
フライパンをひっくり返しながら、料理をしていた中年の男が話しかけてきた。
「カレジと言ってたかな?待ってる間寒いだろうから、中へ入ってなさい。」
優しい笑顔だった。
「あ、すみません。ありがとうございます!!」
カレジは邪魔にならないように、端の方に寄って、中で待たせてもらった。話しかけてきた男も含め、中では4人で調理の作業をしていた。
奥からマーラとジェーンの声が聞こえてきた。
「ジェーン。なんで、コーヒーと紅茶を持って帰って来なかったの?カレジに手間かけさせちゃったじゃないの。なんで手ぶらで戻ったのよ?」
「な、なんでもないの!!ウッカリしちゃったの!!」
「なんでもないってことはないでしょ…。ふぅ…。とにかく、ちゃんとお礼を言いなさい。」
「無理!!」
「無理じゃないでしょ!?ほら!!」
二人のやり取りが聞こえてくるのがおかしくて、カレジは思わず笑った。
フライパンで調理していた男は、仕事が落ち着いたのか、こちらに近寄ってきた。
「いやあ、すまないね。待たせちゃって。明るい親子だよね。明る過ぎて、いつもあんな感じだよ。おかげでこっちも元気になるけど。」
そう言いながら、男も一緒に笑った。
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