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その日から、カレジの居候は始まった。
ダンの家の二階の小さな部屋を借りて、荷物を広げた。
部屋は木造で、タンスとベッド、そして窓があるだけのシンプルな部屋だった。
カレジが部屋で荷物を片付けている間に、ダンは風呂を沸かしてやった。体も冷えているだろうし、流れついてからゆっくりくつろぐこともできないでいただろう。
それは、ダンの気遣いと優しさだった。
カレジは喜んで、すぐに風呂に入った。
体を洗うのも久しぶりだ。きっと、ものすごく異臭を放っていたに違いない。頭もゴシゴシと洗って、スッキリした。洗っていて、今更気付いたのだが、すっかり髪も伸びてきた。
そして、湯船に浸かると、体も心もホカホカとしてきて、何故だか涙がでてきた。
なんて、あったかい場所に辿り着いたんだろう…。
村に住んでいた頃を思い出す。
もう、ぼんやりとしか記憶に残っていないが、毎日みんなが笑顔で、悲しいことなんて、知らなかった。
そして、父と母を思い浮かべた。
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