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「偶然辿り着いたんだろ。…ははーん、お前さては、ココちゃんが僕と仲良くなりそうなもんだから、難癖付けて辞めさせようって考えじゃないのか?汚いぞ。」
姫子はそれを聞くと1つ溜息をついた。
「シュンタソ、あの子は嘘をついてる。」
僕は机に突っ伏し、腕を伸ばした状態で返事をした。
「その根拠は?」
「女の感。」
「くだらね。僕そういうの信じないから。」
「ねぇ、探ってみなよ。得意でしょ?ストーカーみたいなの。」
ストーカーはお前だ。
「探るって何を?ココちゃんにカードを渡した引退者?それとも希望の国に辿り着いた理由?なら本人に聞けよ。」
「もぉ聞いてるよ。まだ返事が無いの。」
「姫子は短気だな。ココちゃんはモバイルゲームに依存している訳じゃないんだ。現実の暮らしも考えてやれ。年中無休でログインしてる僕等とは違うんだよ。」
「シュンタソ…ネットオークションは知ってる?」
ネットオークション。
もちろん知っているさ。
ネット上に自分の売りたい物を出品し、それを求めている人が、任意の金額で落札する。
落札後、商品の代金を指定の場所へ振込み、数日後に手元に商品が届くのだ。
このネットオークションだが、モバイルゲームの闇がそこにも存在する。
ゲーム内のアイテムやカードは、トレードと呼ばれる機能を使い、希望のカードと、それに釣り合うアイテム数が合致すれば、ユーザー間で取り引きする事が出来るのだ。
逆もまた然り。
しかしこの機能が闇を齎す。
RMT…リアルマネートレードの略称だ。
ゲーム内のお金やアイテムを仮想マネーとすると、リアルマネーとは現金そのものを意味する。
現金とはもちろん福沢さんや新渡戸さんのことだ。
では、ゲーム内のカードやアイテムが、どのようにリアルマネートレードをされているか。
そこにネットオークションが使われているのだ。
RMTはもちろんノバゲーでは違反だ。
だが利用者が後を絶たない。
つい最近も、希少なカードや大量のアイテムが、ネットオークションのラインナップに並べられていた。
確かこの前見た時は、ハデスに10万ぐらいの値がついてたかな……。
ん?
ハデス?
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