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確か…あの時見たラインナップは、ハデス、ゼウスにポセイドンだ。
それぞれ入手困難なカードであったため、よく覚えている。
僕は恐る恐る姫子に尋ねた。
「売れて…たのか?」
「シュンタソも見てたのかな?うん、売れてるよ。綺麗さっぱり全部。その総額は30万を超えてるよ。つい最近のことね。」
「ちょっと携帯貸せ。前もここにあったろ、2つ。」
僕が手を伸ばすと、姫子はその手にそっと携帯を乗せた。
売れた商品の履歴を調べるんだ。
僕はネットオークションサイトにアクセスすると、ゲームのカテゴリで売れた商品の履歴を、1つ1つチェックしていった。
!
やはり最近の事か。
調べて10分後にそれを見つけることが出来た。
どれも10万以上の値がつき、落札されている。
嘘だろ…?
あの子がRMTをしてるのか?
「売れてたでしょ?」
僕が気を落としているにも関わらず、姫子は耳に刺さる言葉を述べ続けた。
「あの子がなんの目的で、こんな人望の無いリーダーが立ち上げた過疎国家に来たのかはわからないけど、ちょっと探ってみたら楽しそうじゃない?」
「まだ…わからない。そうと決まった訳じゃない。あんな素直ないい子が、RMTをする訳がない。」
「可哀想なシュンタソ。純真無垢で、いかにも妹のような愛嬌さで惑わされ、これまた女性経験の無い、純粋なチェリーボーイが、自分を偽った違反ユーザーに騙されたのね。」
うぐぐ…何も言い返せない。
「ね、調べてみようよ。」
「あぁ、そうだな。少し調べてみるか。」
まだ…そうと決まった訳じゃない。
あの子が、違反なんて…。
僕が調べるのは、あの子の罪ではない。
僕が本当に調べたいのは、あの子が無実であるという証拠だ。
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