立夏の候

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ノバゲー内には無数のゲームが存在している。 その数は100を超えているだろう。 何百万と言うノバゲーユーザーを囲い込むため、多数のゲーム配信会社が、次々と新作を生み出していく。 新作が出来れば、その分配信停止になるゲームもある。 売れない商品、集客力の無いゲームに力を入れる会社など、恐らく存在しないだろう。 しかし残念ながら、僕が無数に存在するゲームの中からチョイスしてしまったのは、その集客力の無いゲームだ。 その名は【神聖戦記】。 内容については、追々説明するとして…。 神聖戦記には20万人のユーザーが暮らしている。 更にその中で、最大30名の【国】と言う名のコミュニティをそれぞれ形成しているのだ。 中世ヨーロッパ風の舞台で、国と国が熱いバトルを繰り広げる、それが神聖戦記だ。 僕が在籍している国の名前は【希望の国】。 リーダーはもちろん僕だ。 そして、次に我らが希望の国に在籍しているメンバーを紹介しよう。 まずは【姫子】。 彼女は、なんと現役の幽霊。 今から1ヶ月前、彼女が引き起こした幽霊騒動を、抜群の推理力で解決した僕に好意を寄せている…まぁストーカーに近いな。 メンバーは以上だ。 僕が国を作成してから1ヶ月が経つというのに、僕達以外誰も入国者がいないというのが、今の現状だ。 やはり、神聖戦記の過疎化が如実に現れているのだろうか。 「シュンタソ、人望無いんじゃない?」 僕が新規の読者に向けて、親切に、分かりやすく説明していたところだが、唯一のメンバーである姫子が、国の掲示板を使い口を挟んできた。 僕に人望が無い…? 何を言ってるんだ、このストーカーは。 神聖戦記の配信初期から暮らしている古参ユーザーである僕に? 定期的に行われる、神聖戦記での大会…イベントで、何度も優勝している英雄シュンタソに? 人望が…無いだって? 「おい化け物、お前のせいじゃないか?お前は悪霊だ。そして僕に付き纏う筋金入りのストーカーだ。僕に人望が無いと言うよりも、お前が何らかの嫌がらせをして、入国希望者を脅している…と考えた方が納得出来る結論だが?」 「えー、入国希望者なんて今まで1人も居なかったよ?やっぱり、シュンタソに人望が無いって言った方が筋が通ってるよ。人望の無いリーダーを持つって…不憫な私…。なんて可哀想。」 今すぐ出ていけよ。
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