立夏の候

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「シュンタソ、勧誘しないと。私は別に2人でいいんだけどね。」 勧誘…そうか。 神聖戦記には、まだ始めたばかりで右も左もわからず、国に在籍していないユーザーや、今在籍している国と馬が合わず、移籍を考えているユーザーもいる。 勧誘…要は宣伝だ。 新人の囲い込み、そして中堅層や古参ユーザーをバランス良く在籍させる事が、大国家の在り方だ。 僕としたことがその程度の事に気付かないとは。 この悪霊も元々は古参ユーザーだ。 たまには役に立つ事を言う。 僕は早速神聖戦記の公式コミュニティにある、国民募集トピックに自身の国を宣伝する事にした。 【我が希望の国は、皆が仲良く暮らしていけるアットホームな国です。初心者大歓迎!中堅、古参もどんとこい。目指すは神聖戦記の頂点。さぁ今すぐ希望の国へ入国申請だ!】 うむ、まずまずの出来だ。 僕は意気揚々と自国へ引き上げる。 「アットホームって…私化け物とかボロクソ言われてるんですけど。イジメですけど。」 「黙れ化け物。さぁ、果報は寝て待てだ。」 「あ、じゃあシュンタソ。私の所に来てよ。暇なんだよねぇ。」 僕は、その書き込みを見て戦慄を覚えた。 私の所……それはSNSをさまよう亡霊の住居だ。 その空間が何であるかは説明出来ないが、姫子が地縛している場所だ。 僕はそこを霊界と認識している。 1ヶ月前の幽霊騒動で、姫子に無理矢理拉致され、連れ去られた経験がある。 「断る。」 「えー(´;ω;`)」 僕は神聖戦記を後にすると、布団に横になり、眠ることにした。
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