入国者

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こ…これは…怪文書か…。 悪人が犯行を予告する際に、自分の筆跡から足をつくことを恐れ、新聞の文字を切り抜き、それを張り付けて内容を伝える方法に、良く似ていた。 僕にはこの怪文書を解読することが出来なかった。 辛うじて、文末の【ます】だけ判断することが出来る。 僕が推測するには、【あなたをころします。】こうだろか。 しかし、ただの殺人者ではない。 最後に可愛らしい顔文字を付けちゃってるとこなんか、犯罪を楽しんでいると伺える。 愉快犯…いやサイコキラーだ。 とんでもない奴が入国してきてしまった…。 僕は目の前が真っ暗になった。 どうしてこうなった。 思えば1ヶ月前から、僕のノバゲー人生はおかしな方向に向かっていた。 毎日フレンドと仲良くコミュニケーションをとり、イベントも毎回上位に入る、まるでSNSの見本ユーザーみたいな暮らしを続けていた僕が、非現実的な幽霊騒動に巻き込まれ、ストーカーに付きまとわれ、終いにはサイコキラーにも狙われる。 僕が項垂れていると、姫子から入国者への返信が書き込まれた。 「あー、ギャル文字だ。懐かしい。ょзι<ね─(≧∇≦)/」 え…? ギャル…文字? それは、僕も何となく聞いたことがある。 文字を分解、または変形させて文章を表現する手法だ。 僕は異性とコミュニケーションを進んでとるようなタイプではない。 硬派にゲームをプレイし、イベントで上位に入賞する。 僕のライフスタイルは、ギャル文字を使い合うような環境になかったのだ。 な…なんだ、ギャル文字か。 驚かせやがって。 僕も負けじとギャル文字で返した。 「YOろSHIくNE!」 どうだ。 初めてギャル文字を使ったとは思えない完成度だろう。 「シュンタソ、知らないなら無理して使わなくてもいいんだよ。」 なぜバレた…。
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