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「知らなかったとでも言うんですか?」
頭をかかえた俺の頭上に
突然降ってきた声。
「原口の噂…知らなかったとでも?」
小林は俺の方に向かって歩きながら
強い口調で言ってくる。
的をつかれた小林の問いに目をそらしてしまった俺。
知らなかった…で済む話じゃないことはわかってる。
だけど、そんな噂は、
一度だって聞いたことがなかった。
いや、むしろ知ってたら、
麻衣をつかせたりはしない。
小林は、ゆっくりと俺の真横で立ち止まると、鋭い視線で見下ろした。
「どうして俺を麻衣ちゃんのアシストからはずしたんですか?」
『お~い!小林!そろそろ時間だぞ!』
「はい!今行きます」
これからまた外営業に行く小林は、出口から呼びかけられた声に一瞬だけ振り返ると、また俺に視線を戻した。
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