後悔

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後悔

明石はチラッと一度小林を見ると、戸惑った表情を見せながら口を開いた。 「あの…前からちょっと原口部長のことで女子社員の中で噂があって…」 「噂?」 「はい…女の営業だと…口説いてくる…みたいな」 はぁ? 思わず目と口が開いた俺から、気まずそうに視線を外した明石。 原口が…口説いてくる? そんな噂、 聞いたことがない。 「今、小林の話だと、おととい朝倉が接待したみたいなんで…もしかしたら、 いざこざがあったのかもしれないです」 「いざこざって?」 「いえ…わからないですけど…朝倉も原口部長が変だって言ってたので…」 なんだよそれ…。 「朝倉は…何も言ってませんでしたか?」 そう付け足す明石に、俺はただ無言のまま首を横に振ることしかできなかった。 朝の話は間違いなく契約と原口のこと。 あの時、ちゃんと話を聞いてやれば・・・ 今更そう思うことしかできない自分が情けなすぎる。 それに原口にそんな噂があったなんて… 俺は、何度か原口を接待したことがあったし、契約してから何年もたってるっていうのに 噂が本当なら、 原口の悪性に全く気づきもしなかった。 原口が変だと話す 麻衣にさえも…気づいてやれなかった。 麻衣・・・。 “裕…助けて…” 朝見た麻衣の顔は、 俺にSOSを求めていたんだと思うと、 やりきれない後悔ばかりが襲ってきてギュッと強く目を閉じた。
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