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死体をトラックに詰め込む。ヒューズは思案した後、指を鳴らした。
「先輩、この死体、解剖が済んだら俺にくれないっすか?」
「また例の悪趣味に使うのか?」
「あー、まあ、そんな所ですかね」
ヒューズが運転席に乗り、エンジンを掛ける。トラックは猛獣の唸り声ような音を上げ、車体を振動させた。
「んじゃ、俺は死体を運びますから、先輩は引き続き調査を頼みます。モタモタしていると、スミスの旦那に怒鳴られますよ」
「その心配はない。すぐに方が尽くさ」
大柄の男はトラックを見送った後、一人農道を歩く。先まで行くと塀にたどり着いた。
「関所を越えている、可能性は少ないかもしれないな」
傍らにセキュリティロボットが近寄ってきた。通行許可証の提示を求めてきたので、自身のIDカードをロボットに見せる。すると、ロボットは何も見なかったように振り返り、辺りをぐるぐると動き回った。
「あいつが何か見ているかもしれないな」
男はロボットの背中にある装置にIDカードをかざし、数字を打ち込む。背中はぱっくりと口を開け、小型のコンピュータが顔を出した。
「さてと、誰かが通ったのなら記録が残っているはずだ。……これか」
男はすぐに気付いた。数時間ほど前、此処を通った人物を、確かにロボットが記憶していた。
「この区域のロボットにも、顔認識カメラでも取り付けておくべきかね。通行許可証の提示はないみたいだな、だとしたら」
男は近くに広がる藪に目をやった。
「彼処に逃げ込んだか、だとするといく場所は六番街。そこからカースト通りね」
胸ポケットから、仲間と連絡をする通信機を取り出した。
「此方オルドレイク。カースト通りから市街地に続く道を封鎖しろ、今すぐだ」
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