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グレイルが鍬を振り下ろした。エルは身体を捻り避けるが、右腕が少し抉られた。
激しい痛みに耐え、踏み込んでグレイルの下腹部にドライバーを突き立てる。ドライバーは先端が欠け、刺さるには至らなかったがグレイルを怯ませる事は出来た。
その隙を付き、突き飛ばして部屋を出る。グレイルは怒声をあげながらすぐにエルを追った。
「小娘が!嘗めた事してんじゃねぇぞ!!!バラバラにする前に犯してやるぞ!!!」
エルは玄関前で焦っているようだった。鍵が掛けられ開かないようだ。
「ヒッヒッヒ!アッヒャヒャ!!そう簡単に逃がすわけないだろバカが!」
鍬を持ち上げ、エルに襲い掛かろうとすると、違和感に気づく。薄暗い部屋でも確かに分かるエルの姿は、何かを構えていた。
銃声が響き、グレイルの肩を撃ち抜く。
「ぐっ!!」
鍬を落とし、肩を押さえる。汗が吹き出て呼吸が荒くなった。コツコツと足音が近寄ってきて、目の前で止まる。それは猟銃を構えたエルの姿だった。
「ま、待て!話せば分かる!!だがら命だけは!?」
「…………」
エルは重い引き金を引いた。びちゃびちゃと血が飛び散り、顔に掛かる。
そして、エルは何も考えず、ひたすらにグレイルの死体に向かって、弾が切れるまで猟銃を打ち続けた。
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