第1章 『審判』

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グレイルの死体を探り、金の入った財布を盗む。 外へ出ると朝日がエルを迎えた。暖かく、落ち着く。ずっとこのまま陽に当たりたいと思ったが、早いところ逃げないといけない。エルは振り返り、グレイルの死体を一瞥したのち、走り出した。 此処は街外れの農道のようである。トウモロコシ畑が遠くの山まで続いていて、圧倒させられる。 産業の殆どがロボットに任せられている。こんな広い農場でも、人の姿はない。 ひたすら走っていると、高い塀が見えてきた。『アフトリア』を囲む怪物のような壁。 『アフトリア』の外へ出るには通行許可証が必要である。勿論、外から内に入る時も必要だ。 『アフトリア』自体が、独立した一つの国家だ。他国からは楽園とも呼ばれている。 エルには分かる。塀に囲まれ、神の法が敷かれているこの街が、楽園ではないことを。 塀の側まで行くと、セキュリティロボットがエルを探知して近寄ってきた。 『ツウコウキョカショウノテイジヲオネガイシマス』 エルはどうしたものかと悩み、固まってしまう。ロボットは返答がないエルに対してもう一度通行許可証の提示を促す。 『ツウコウキョカショウノテイジヲオネガイシマス。ツウコウキョカショウノテイジヲオネガイシマス』 暫くしても通行許可証の提示がないので異変に感じたロボットは、緊急警告を作動した。 『フホウナガイシュツハキョカシマセン。コウアンキャクケイジカマデドウコウネガイマス』
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