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「センパイ!初めまして!吉野って言います。よろしくお願いしますね!」
「うん。よろしくね」
向かいに座る吉野くんに笑顔で挨拶。2人がまだ喧嘩してるってのにアタフタする様子もない。
こいつ…出来るな!
「1年少ないから緊張しない?」
「あれ、やっぱり顔に出てます…?有名な先輩ばっかの劇に僕が混じって大丈夫なのかな…って、ちょっと緊張してます…」
ううん、全く出てないけどね。取敢えず会話にネタに、って適当に言っただけなんだけどね。
両手で頬をペチペチ叩く吉野くんはまたニコリと笑った。
「村上センパイからお話を頂いて…面白そうだから引き受けたんですけど。まさかセンパイばっかとは思いもしませんでした…!」
ちょっと赤くなった頬。叩きすぎじゃない?ホントに緊張してるんだな…
足引っ張らない様に頑張ります!って笑う吉野くんは手を差し出してきた。握手しようってことかな。
「話し相手なら俺でもできるし、仲良くしようね」
なんて、部活を何もしていない俺にとっては初めての後輩との接触。何かちょっと嬉しくなって握手した手に力が入った。
もう得意分野になった爽やかスマイルを向けると吉野くんもニパーっと満面の笑みになって…
ああ…後輩っていいな、うん。
中学の後輩っていったら、やんちゃしてる奴ばっかだったから…何か新鮮だ。
「何、他の男と触れ合ってニヤついてんの。触れた部分の皮膚削ぎ落とそうか」
「申し訳ございません!」
急いで握手した手を放した。奏様…いつの間に斉藤くんとの喧嘩を終えたのですか。さっきまでギャーギャー言ってたじゃないですか。
???って首を傾げる吉野くんは状況を把握出来ていないようだ。ごめんね吉野くん…この人、大魔王なんだ。
「こいつ、俺のだから。気安く触れないでもらえる?」
「ん?えっ!?あ、そういうことですか!すみません!そうですよね!大事な人ですもんね!」
「聞き分け良いな、あんた。名前は?」
「吉野です!1年です!よろしくお願いします!」
何が大事な人ですもんね!だよ吉野くん!違うよ!何か絶対勘違いしてるよ!奏はただの友達だよ!
何でたった一言で全てを悟ったみたいな顔してるの…?
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