真白学園2年A組

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そんな日々が少し変わったのは、役員決めから1週間程経ったある日。 「市川ー。ちょっといいか?」 お昼休み、担任に呼び出されたのだ。 「ごめん奏、先にお昼食べてて」 奏と合わせて2人分のお弁当を作っている俺は、いつも奏と食べてるんだけど… 今日は仕方ないか、と空腹でイライラしてる奏にお弁当を渡して、先生の元へ。 やって来たのは職員室だ。 担任の隣の机の椅子を引かれ、そこに俺も腰を下ろす。 「市川に頼むのもアレなんだが…」 苦い顔をして話し出した先生は、パンッと顔の前で手を合わせると 「斎藤を更生させてくれないか?」 と一言。なんだかよく分からない頼み事をされた。 斎藤って、あの金髪不良くんのこと? 「えっと…どういう意味ですか?」 首を傾げて先生に問いかけると、情けない話なんだが…と斎藤くんについて話し始めた。 「ほら、あいつ学校にちゃんと来てないだろ?2年には上がれたが…このままいくと留年確実なんだよ」 留年…。 まぁ確かに…登校しても出席を取った後はサボって何処かへ行ってるか、遅刻してくるかだし そうなるのは薄々分かってたけど。 「俺も何回も説得したんだけどな…殴られるし罵られるしで手が付けられないんだよ」 「そう…なん、ですか?」 いやいやいや。 何でそんな凶暴な奴を俺に押し付けようとしてんだよこの先公は。 真面目で爽やか、頭も良いしスポーツ万能な俺に不良を押し付けるのはダメだろ。 「市川なら、あいつを何とか出来ると思うんだよ。フットワークも軽いしさ!」 その自信はどこから来たんだどこから!俺はそういう不良とはもう関わらないって決めてんだよ! バレちゃったら困るだろ!? 俺は女の子にモテたくてモテたくてモテたくてモテたくて… この性格を創り上げたのに。 彼女出来てないけど。
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