真白学園腐女子の会

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「キャー!!前田様が公衆の面前で告白を…!」 腐女子の会の女の子達が騒ぎ出してめちゃくちゃ耳が痛い…! 俺達を写真に撮る人まで出てきて、何かもうスキャンダル状態。 「そ、それは!市川センパイが男だって分かっててですか!」 「当たり前じゃん。君には伊織が女に見えるの?」 「全く見えません!」 「じゃあ、そういうことだろ」 おおー!なんて納得してる様子の吉野くん。何を納得してるのでしょう。 俺には全く納得出来ませんけど!? 「凄いです前田センパイ!男を好きってことをこんなにキッパリ言えるなんて!」 「おう……」 キラキラ目を輝かして、手を取ってブンブン振り回す吉野くんに、めちゃくちゃ困ってる奏。 奏を困らせるプロだ、この子。 「僕も好きな子がいるんです!相手は女の子なんですけど…勇気が出ました!」 「分かったから離せって」 無理やり引っ張って振りほどいた奏は、何故か俺に抱きついてきた。 何で?って聞いたら、浄化だって。 どうやら奏の中で、吉野くんは穢(けが)れたものとして認識されたらしい…。 珍しいよ、奏がこんなに扱いに困る子なんて。 だからだろうけど、奏が俺の後ろでずっと引っ付いてる。 さりげなく壁にしやがったな…。 「僕も、彼女に気持ちを伝えてみようと思います!!」 「どうぞご自由に」 シッシ!と手を振る奏。吉野くんは全く気にしてない…というか、それを声援として受け取ったのか ありがとうございます!なんて、頭を下げてクルリと振り返った。 「ひよりちゃん!お、俺と付き合ってください!!!」 え、うそ、まじで? その好きな子…腐女子の会の子だったんだ…。 突然の告白に、ひよりちゃんと呼ばれた子は目を見開いていた。 クリクリのパーマに、クリクリの目。華奢で、可愛らしい…人形みたいな女の子だ。
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