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「今日は…保健室行かないんだね」
「あいつ今日から出張」
「あ、そうなんだ」
いつも通り、カバンを枕にして寝ようとする斉藤くんに、今日はちゃんと一緒に授業受けようよ。って誘ったら…俺とは逆の方へ頭を向けられた。
そこまでは気を許してないってことか…。
まあ、斉藤くんとこれだけ会話出来るようになっただけでも嬉しいし…今日はこの辺にしておこうかな。って、思ったとき。
斉藤くんが真正面からカバンに顔を置いて、目だけをこっちへ向けた。
「お前…あんま俺と話さねえ方がいいんじゃねえの」
「え、何で?俺は斉藤くんとも仲良くしたいなーって思ってるんだけど…」
明らかな拒絶をされたことで、少し眉が下がった。
目つきが悪いだけなのかもしれないけど…睨まれながらそう言われると悲しいし辛い。
「俺は別にいいけど。お前の後ろ…視線がうざい」
俺の後ろ…
振り向くとそこには魔王が居ました。
「斉藤と喋るな。近寄るな。視界に入れるな」
「それは難しすぎます魔王様…」
俺、斉藤くんをよろしくねって先生から頼まれてるし、隣の席だし!
嫉妬でいっぱいになった人って…こうも冷たい視線を送れるんだね…怖いっす。はい。
「ほらそこ喋りすぎだぞ」
「あ…すみません」
先生に注意されて、取りあえず奏からは逃げれた。凄まじいくらいの視線を感じるけど。気にしない…気にしない…。
殺気という名の凶器がグサグサ背中に刺さってますよーっと。
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