真白学園腐女子の会

27/60
前へ
/480ページ
次へ
「大丈夫…?ひよりちゃん」 「ちょっと退いて!」 「えっ、あ、」 助けて、心配したのに…何故かすごく怒鳴られて突き飛ばされた。ひよりちゃんは格好は女の子なのに、やっぱり男だ。力が強い。 一瞬固まっちゃったけど、俺がここに来た理由を思い返してふと我に返った。喧嘩を止めないと。 急いで立ちあがって、ひよりちゃんの向かった方を見ると、そこには物凄い形相で胸倉を掴んでる吉野くんの姿があった。 ひよりちゃんは、傍らで泣いている女の子を守るように抱きしめて…吉野くんが相手にしている男を睨んでいる。 「吉野くん…!」 名前を呼んでも、見向きもしない。それどころか、男に顔を近付けて…何か話している。周りに居る野次馬の声でかき消されて聞こえないけれど。 とにかく、男が何かしたのは明白だ。ひよりちゃんが突き飛ばされて、しかも女の子が泣いている。吉野くんが怒ってる。 「吉野くん、落ち着いて…!」 急いで2人を引きはがそうと間に入ると、なんだよてめぇ。って男に睨まれた。 こいつ、見たことある。 確か…1つ年下の、不良。よく先生と追いかけっこしてるのとか、あちこちで喧嘩してるのを見かけてた。 「喧嘩は良くないよ。何があったのかは知らないけど、話し合いで解決しよ?ほら、こんなに人も集まっちゃってるしさ」 「誰かと思えば有名な王子様じゃありませんか…。喧嘩の仲裁までするなんて…さすが、皆の憧れなだけありますねぇ?」 下卑た笑みを浮かべながら、思っていないであろう言葉を俺に投げかけるこいつは、下唇をペロリと舐めた。 俺を品定めするような、そんな顔だ。 「センパイは引っ込んでて下さい。これは、僕の問題ですから」 「おうおう吉野…せっかく王子様が助けに来てくれてんのに断んのかぁ?お前じゃ俺に勝てねぇだろ」 良く見れば、吉野くんの顔には殴られた痣がある。見ているだけで、どの程度の強さで殴られたのか想像出来るくらいの、薄っすらと血が滲む青痣。 こいつに殴られたんだろう。
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1993人が本棚に入れています
本棚に追加