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「せっかく王子様と会えたんだ。ついでに俺と遊びませんか?」
こいつ…標的は定まってないのか…?自分より下だと思ってる奴なら、誰でも良いって感じか…。
「おい、その足を退けろ」
「奏、怒っちゃダメだよ。これくらい平気だから」
不穏な雰囲気。
俺を蹴る足を掴んで、殺気混じりの低い声で話す奏の肩を掴んで宥(なだ)めた。
ここで奏に混じられたら、本当に止めるのに手こずる。選択肢なんか無く、力づくで止めるしかないし。
「君が何でこんな騒ぎの中心に居るかは分からないけど、今日のところはもう止めにしない?」
「は?せっかくキャストが増えたのに?」
「増えれば増えるほど良くないよ。それにほら、たくさんの人が見てる」
女の子の視線は俺と奏に集中してるけどね。殴られた瞬間の悲鳴なんてひどいもんだ。
脳内消去したけど。
女の子はね、例え憧れの人が殴られたからって…あんな汚い言葉は吐かないんだよ。
「王子様は良いですねぇ…勝ち組の余裕っての?そういうのがあって」
「そうかな?こう見えてもけっこう余裕無いよ」
素を知らない人の前だと自然に出てくる爽やかスマイルの所為かな。本当に今は余裕無いんだけどな。
普通に話してるように見えて、今ものすごい力で奏の肩掴んでるからね。
こいつ絶対手離したら殴りに行くから。マジで勘弁してほしい。
「でもこの喧嘩…止めようとしてるのは王子様だけみたいですよ?隣の先輩も、俺のこと超睨んでるし」
「あはは…奏は元から目付きが悪いんだ。普通だよ、普通…」
嘘です。普通じゃないです。我慢の限界なのか、隣で放送禁止用語を連発してます。
殺人鬼に見られてもおかしくないくらい怒り狂ってます。
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