1995人が本棚に入れています
本棚に追加
______________________
昼休みも終わりに近付いた頃。女の子達は教室へ帰っていった。
「そういえば、先生の話って何だったんだ?」
食後のジュースを飲みながら、奏に斎藤くんの話をした。
合鍵も貰ったことだし、放課後斎藤くんの部屋に寄ろうと思っていることも。
一応…今回は、明日は学校に来てね的な事を伝えるだけにするつもりだけど。
やっぱり、最初から強引に言ってもウザがられるだけだろうし。
「気を付けろよ」
その話をすると、奏からは一言…それだけが返ってきた。
何に…?
全く意味が分からなくて首を傾げる俺に、奏はハァとため息を吐いた。
「部屋に行ったら女連れ込んでました…みたいな展開じゃないことを祈ってる」
南無三。とお経を唱える奏に…スゥーッと血の気が引いて行くのが分かった。
うそだろ。
そんな現場に出くわしても…その場合の爽やかな返しが思いつかない…!
というかそんな現場に出くわしたくもない!
「ピンポン鳴らしたら大丈夫だよね?大丈夫だって言って!」
「ダイジョーブ」
「綺麗な棒読み…!」
斎藤くんをちゃんと学校に来させるだけのはずなのに…いきなりソレは嫌なんだけど。
「奏も一緒に…」
「晩ご飯の時間までには帰ってきてね」
「はい…」
ちくしょう。奏の馬鹿野郎!
1年の時は爽やかで女の子にモテまくったから幸せだったけど…今までこんなに爽やかを恨んだ事は無いよ。
斎藤くんを早く更生させて、早くこの任務から解放されるように全力を尽くそう。
で…何かあったら爽やかスマイルで華麗に走り去ることにしよう。
もうそれ以外の方法は何も思い付かないし…
最初のコメントを投稿しよう!