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「無理ですよセンパイ。あいつは典型的なクズですから」
「え…?」
どうやら、あの男の敵に回るとどこまでも追い詰めてくるらしい。先輩だとか、そういうのは関係なく。
それで登校拒否とか、退学してる子も少なくないとか。
思ってたよりも問題児だな、こいつ。まあ、取り巻きが居ないと何も出来ない部類の人間だろうけど。
ってことは、俺達が呼びに行くしか無いってことなのか…。
「私が呼んでくる。この子をお願い」
どうしようかと思ってると、ひよりちゃんが女の子を俺に預けて飛び出して行ってしまった。
「あなたなら預けられる。絶対この子を守ってね、黒中の…市川 伊織先輩」
そう、小さく呟いて…。
「か、奏、奏。黒中の市川伊織って言われた…!黒中の…」
「聞こえてたよ」
黒中。黒岩中学。黒中の市川っていえば、あの地域では知れた名だ。悪い意味で。
何でひよりちゃんが知ってるの…!
と、とにかく。今はこの、しくしく泣いてる女の子だよね…。大丈夫?って頭を撫でるのと同時に、奏に撫でた手を抓(つね)られた。
痛いっての。
「あーあ。ダメですよ王子。俺は楽しみたいだけなのに…大ごとにしないでくださいよ」
「話し合いで解決しないんだから、仕方ないじゃん」
殴り合いなんてもってのほかだよ。俺はもう不良は卒業したんだから。
爽やかに行こうよ。話し合いで。
「まあいいや。お楽しみは後にとっておく、ってことで」
今日は解散。そう行って、男達はその場から立ち去って行ってしまった。
なんだったんだあいつ。
「次の標的は俺達だな」
「そうみたいだね…奏も気を付けて。あいつ、厄介だよ」
「分かってる」
でも、吉野くん達から俺達になったなら良かったかも。俺は男だから、多少は痛い目見ても大丈夫だけど
こんな…か弱い女の子まで巻き込んでるんだもんね、あいつら。
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