真白学園腐女子の会

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そんな話をしながら、俺は晩御飯を作っていた。今日は中華です! 俺の大好きな天津飯と、青椒肉絲を手際良く作っていく。 俺、絶対将来いい夫になれるよなぁ…奥さんの家事手伝いも出来るし、料理も完璧だし。 子供も大好きだから、流行りのイクメンにだって絶対なれる自信ある。 あの騒動の後。優等生であり、成績も優秀で問題なんて起こさない俺と奏のおかげか、先生には何も追求されることなく帰してくれた。 午後の授業も真面目に受けて、いつも通りに劇の稽古をして、奏と晩御飯の食材を買いに行って。 稽古が終わる直前。吉野くんに今日お邪魔していいですか、って聞かれたから、今は家に招いてる状態。 ついでにご飯もご馳走してあげようという、俺の大きな心意気だ。 吉野くんがわざわざ俺の部屋にまで来て話したかったことは、昼間のお詫びらしい。 律儀に絆創膏とか、消毒液とかの救急セットを買って持って来てくれた。 ホント、この子良い子…! こんなの唾付けときゃ治る、って思ってたのに優しさの塊だね。 奏は俺が何か気に障る事を言う度に、殴られた方の頬をグリグリしてくる魔王っぷりなのに。 「話はそれだけか?なら、早く帰れ。俺と伊織の時間を邪魔するな」 「こら、奏。せっかくいろいろ買って来てくれたのに、その言い方は無いだろ?」 「怪我した原因がこいつなんだ。それくらい当たり前だろ」 「何も言い返せない自分が情けないです…!センパイ、本当に…すみません…」 これくらいなんとも無いのに。奏はいちいちカリカリし過ぎなんだよな。 まあ、それは俺を殴った事への苛立ちと、いつもの独占欲から吉野くんに当たってるだけなんだろうけど。 「まあまあ奏。ほら、晩御飯出来たよ!吉野くんにも作ったから食べてってね」 「え!そんな!僕はいいです!そろそろ帰らないとって思ってましたし…!」 「帰るの…?せっかく作ったのに。仕方ない…捨てるか…」 お盆に乗せた人数分の天津飯に視線を下ろして、少し落ち込んだトーンで話すと 「あああ!嘘です!食べます!捨てるなら食べます!もったいないです!」 って、吉野くんが慌ててお盆を受け取った。うんうん、良い子はちょろいから好き。
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