真白学園腐女子の会

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チッて、あからさまに舌打ちをした奏に、吉野くんが萎縮してる。 後輩にはもうちょっと優しくしてあげようよ…。 「ほら、奏。明日はオムライスにしてあげるから機嫌なおして」 「……早く食って帰れ吉野」 よしよし。ちょっとは機嫌がなおったみたいだ。奏は分かりやすくて良いよね。 本能のままに生きてるところがあるから、暴力的で攻撃的だけど…感情が分かりやすいのは楽だ。 「じゃあ食べよ!今日は自信作だよ。吉野くんの口に合うといいな」 「い、いただきます!」 レンゲで一口。天津飯をパクリと食べた吉野くんは、固まってしまった。 あれ、美味しくなかったかな?俺的には結構イケる味なんだけど…。 奏を見ると、いつもより少し食べるスピードが早い。言わなくても美味しいってのが伝わってくる。 「あれ…美味しく無かった?ごめん、違うの作ろうか…?」 そう言うと、フルフルと口元を手で覆って横に首を振る。 俺の言葉で奏も固まった吉野くんに気付いたのか、物凄い殺気を放って睨み付けている。 ダメだよ奏…誰にでも好みはあるんだから。 何がダメだったんだろう?まさか…天津飯自体がダメだったとか? ちゃんと吉野くんに好物を聞くんだったなぁ…俺の大好物だからって、吉野くんが好きなワケないもんね…。 「お、美味しいです…!」 「え?」 「久しぶりに温かいご飯を食べて…しかも美味しくて…!感動して体が硬直してしまいました…!」 どういう家庭環境だ吉野くん。 いや、今はその話は置いておこう。というより聞かなかった事にしよう。 美味しいなら良いんだ。美味しく食べてくれるなら、俺も作った甲斐がある。 「僕…センパイ好きです!」 「…え?」 「これ、すっごく美味しいです!一生忘れません!」 「あ、ああ。うん、そう言って貰えて嬉しいよ…」 告白じみた発言をするから、今度は奏が固まっちゃったよ? 吉野くん…日本語はちゃんと使わないと…魔王の餌食になっちゃうよ…。
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