真白学園腐女子の会

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吉野くんが変な言い回しをするから、奏の機嫌がまた元に戻ってしまった。 それでも食べるスピードは変わらないから、軽いイライラ程度だろうけど。 あっという間に食べ終わった奏と吉野くんに急かされるように、俺も急いで食べた。 「ご馳走様でした!美味しかったです!」 吉野くんがお礼に、って後片付けと洗い物をしてくれた。すごい良い子だこの子…! 魔王はソファでくつろぎまくってるよ!いや、食費しっかり払ってくれてるから良いんだけどね! たまに皿洗いもしてくれるし! むしろ、お腹いっぱいになって少し機嫌もなおったから、俺としてはこっちの方が平和で良い。 「センパイ、お皿は何処に片付ければ…?」 「あ、そこからは俺がやるから良いよ。ありがとね、吉野くん」 「いえ!こちらこそ!怪我させたのに、ご飯までご馳走になってしまってすみません!」 律儀にお礼を言ってくれる吉野くん。もうなんとも無いから良いのに。 むしろ、頬に物凄い勢いで消毒液をかけてきて、強めに絆創膏を貼ってくる奏の方にイラついた。 「頬…少し腫れてますね」 優しく頬に触れてくる吉野くんの手を覆うように俺も触れて、何ともないよと笑った。 「俺は大丈夫。吉野くんの方が痛そうだ…。ちゃんと消毒するんだよ」 「殺すぞ」 「ひぃ!!?」 あまりの恐怖にバッと勢い良く手を離して後ろに飛び退いた…ら、奏の手にすっぽりと包まれた。 この人怖い…!なんだよ!耳元で後ろから殺すぞってなんだよ! 友達に言う軽口の範疇を超えた恐ろしい低音ボイスだったよ!? 爽やか演じてる時に素を出させるようなマネはやめて欲しい…! ほら!吉野くん首傾げてるよ!俺が変な声を出したから…!しかもビビったからとはいえ、奏に抱き締められてるし! 俺からすっぽりと! 「俺ら…こういう関係だから、片付いたなら早く帰ってくれない?」 「あ、え、すみません!そうでしたよね!お邪魔しました!」 こういう関係ってどういう関係!?訂正する間も無く吉野くんはバタバタと帰っていってしまった… 「なんてこと言うんだよ奏!」 「いずれそうなるから。問題ないだろ?」 「問題しかない!」 いっそ清々しいくらいだね君は! 吉野くん赤面して帰ったよ?ねえ、この現状どうしてくれんの!
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