真白学園2年A組

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というわけで…放課後。 奏は『頑張れよ』とびっくりするほど他人事なセリフを言って帰った。 しかも俺の部屋に。 俺から鍵を奪い取って。 「落ち着け…落ち着け俺。ピンポン鳴らせば大丈夫、ピンポン鳴らせば…」 斎藤くんの部屋は、1号室。 2階の角部屋。 部屋は学年で分かれてる…とかじゃなくて、適当に空いてる部屋へ振り分けられてる。 まぁ、俺も奏も斎藤くんと同じ2階に部屋があるわけで… 今は俺の部屋の前。 バタン、と閉められた扉を見ながら…奏に軽く呪いをかけたのは秘密だ。 何処かの角で足の小指ぶつけろ! てな感じで、ちょっと小さな呪いを。 いやいや、違う。そんな事を考えてる場合じゃなかったんだよ。 「どうか…どうか誰も連れ込んでませんように…!」 今まで信じた事もない神様にお祈りしつつ、斎藤くんの部屋の前で立ち止まった。 ゆっくりと手を呼び鈴へ伸ばすけど…少し震えているのが分かる。 ピンポーン……… …………… ………… ……… …。 なんとか勇気を出してベルを鳴らすも斎藤くんは出て来ず…。 待つこと30秒。 「俺の勇気返せ…!」 と小声で叫んだ瞬間、ガチャ。と鍵を開ける音がした。 ひぃぃぃぃ! お願いします神様どうか斎藤くんが事後的な感じで出てきませんように… もしくは最中でした的な感じでイライラしながら出てきませんように… 普通のスピードなはずなのに、何故かゆっくりに感じる扉が開く時間。 硬直しながらそれを見ていると…当然の如く斎藤くんが出てきた。 「誰?」 物凄く不機嫌そうに、眉に皺を寄せて…低い声で… はだけた服を着て…。 もう神様に祈らないと決めた。
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