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「センパイは近くで見ても、やっぱり綺麗だ…。肌も綺麗だし…すごいイケメンですよね」
「そう、かな?吉野くんも整ってると思うよ…?」
だから今すぐ離れて下さい!
今度は頬に貼られた絆創膏に触れてくる。さっきもされた行為のはずなのに…今はそれだけで心臓がばくばくしてる。
ちゃんと貼り替えました?って聞いてくる吉野くんに言葉を返すことなく
フルフルと首を横に振ることしか出来ないヘタレな俺を誰か罵って下さい。
「じゃあ張り替えないといけませんね!絆創膏…どこに置きました?」
「えっと…ああ、そこ。そこの棚に」
良かった…やっと離れてくれた。心拍数が…心拍数が…!
なんだよ。年下にヒビってんじゃねえよ俺!俺は泣く子も黙る黒中の市川 伊織だろ!泣く子を黙らしたことなんてないけど!むしろ子供好きだし!
あああああ…違う。そうじゃなくて。てか…黒中っていえば…
「吉野くんは…寮生じゃないよね?」
「はい!僕はここが地元なんで、自宅から通ってますよ!」
ガサゴソと絆創膏を出して、消毒液とティッシュを手に、吉野くんがまた隣へ来る。
また心拍数が上がってくのが分かる…。男相手に何でそんなにドキドキしてんだよ俺…。
「近いからここを選んだんです!っていっても、ひよりちゃんが希望してたのも理由ですけどね」
照れ臭そうに笑いながら、失礼します…とペリペリ絆創膏を剥がして行く。
ここが地元なら、黒中なんて知らないはずなんだけどな…。
「ひよりちゃんとは同じ中学なの?」
「そうですよ!中学2年の終わりくらいに転校してきたんです!元々は隣町の、黒…岩?ってとこに居たみたいですよ」
「…………………」
思わぬひよりちゃんとの接点。
それか…!それで知ってたのかひよりちゃん!それならどうりで知ってるはずだ…。俺、中3の半ばまでは完全に喧嘩野郎だったもん…。
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