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「ひよりちゃんは、元々はどこから見ても男の子だったんですよ。だけど、あの子を…美羽ちゃんを好きになって…」
「それで、自分に標的をうつそうとしたってことか…」
「女装があまりにも可愛くて!僕も一目惚れしてしまいました!」
「ああ、そう…」
あの子の、美羽(みわ)って子の為に女装までするなんて、とんでもない愛情だな…。
「オカマになれば、ひよりちゃんがイジメられるだろうって考えたみたいなんですけど、標的が2人になっただけでした…」
理由は分かったけど、その作戦に違う方向で引っかかった吉野くんもどうかと思うよ。
冷たい視線しか送れない俺をどうか許していただきたい。
「あいつら場所を考えないんで…僕もいつもより早く登校して、2人を見てるんです」
「見てるだけなんだ」
「ホントは一緒に通いたいんですけど、2人の邪魔しちゃダメだなぁ…って」
見守るだけなんて男の鏡だよ吉野くん!ぎこちない笑顔が心境を物語ってるよ吉野くん!寂しいんだね…!恋する男も大変だね…!
まぁ、俺は相手に彼女が居ても奪うタイプだから共感は全く出来ないけどね!てへぺろ。
「喧嘩が弱いから…2人の為に出来ることなんて限られてるんですけど…」
「それでも、2人にとって吉野くんの存在は大きいと思うよ。味方が居るだけで心強いだろうし」
ぐったりと項垂れる吉野くんに笑顔でそう言えば、瞳をウルウルさせてギュっと両手を握られた。
「センパイ本当にいい人ですよね!かっこいいし綺麗だし優しいし頭もいいし!」
まあね。俺はほら、完璧だから。装ってる部分が大半だけど。
そう思ってても、そんなことないよー。って返す俺はマジで悪い奴だな。狡(こす)い。
モテる為だけに爽やか演じてるってバレたら失望されるんだろうなぁ…。
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