真白学園腐女子の会

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___________________ 「あれ…かなで?おはよー」 「おはよう伊織。愛してるよ」 「ん、おれもー」 可愛い。なんだこの可愛い物体は。 舌は呂律がうまく回っていない。 「あ、あの、その!」 「何でお前がここに居るの」 伊織を抱きしめて、思わず落ち着けと言ってしまいそうになるくらい慌てている吉野を睨み付けた。 朝ごはんを食べに来たら、部屋の鍵も空いてるし。 何かあったのかと部屋に入れば、どう見ても完全に伊織へあらぬ事をしようとしてる吉野が目に入った。 額から血を流す吉野の姿を見れば、俺が取った行動については察しが付くだろう。 「血を拭け。伊織の部屋を汚したらもう1発喰らわせるぞ」 「すみません!」 ティッシュで慌てて額を抑える吉野を見てから、伊織をベッドへ運んで、布団を首まで被せる。 「寝てないのか」 「よしのくんと…しゃべって…た…」 ニコニコ笑う伊織を見れば、寝てないのは聞かなくても分かる。 こいつは睡魔を極限まで我慢すると、いつもこうなるから。 「よしのくん…ひよりちゃん、まもって…ひーろーみたい…」 「そうか。それは良かったな」 会話すらまともに出来ないくらいに眠いのか…だんだんと瞼を閉じていく。 「かなで…」 「ん?どうした?」 「ずっといっしょだよ…はなれちゃ、だめ…」 「分かってるよ。俺はどこにも行かない。ずっと側に居るよ」 自分に出来る最大限の優しい声と笑顔で、ギュッと伊織の手を握ると…伊織も強く握り返してくれた。 伊織は何も考えなくていい。 大丈夫。俺が居るから。伊織の全てを知るのは俺だけでいい。俺にだけ甘えてくれればいい。 「かなでに、すてられたら…おれ、また…おなじこと…」 「うん、分かってる。伊織からは絶対に離れないよ。約束する」 そう言うと、伊織はまたふにゃふにゃの笑顔で笑って 「よかった…」 そう呟いて、スヤスヤと寝息をたて始めた。 伊織にもう、悲しい思いはさせないよ。俺が、絶対。命に代えても。
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