真白学園腐女子の会

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伊藤。知った名だ。 あいつも猫を被ってたのか…しかも、女装していじめられっこになってる。 思わず笑ってしまうほどの変貌ぶりだ。それなら、伊織の事を言いふらしたりする事は無いな。 「お前が守るほどでもないぞ、伊藤は。女装してても、男なんだから」 「そんな!ひよりちゃんは…喧嘩の弱い俺よりも、喧嘩が弱いんです!僕が守ってあげなくちゃ…!」 「ああ、そう。別にお前の勝手だからいいんだけどな。今のは気にするな」 分かったならもう帰れ、と手を振ると、吉野は首を傾げながらも素直に部屋を出て行った。 玄関の鍵を閉めて、ベッドの横に座って…綺麗に整った寝顔を見る。 『奏…奏、奏…!』 『大丈夫だ。俺はここに居る』 『怖い…怖いんだ…助けてくれ…』 『ああ。俺がずっと側に居るから。ずっと、ずっと側に』 あの事を吹っ切ったのかと思っていたけど…伊織はまだ、縛られているらしい。 あの、忌々しい過去に。 「伊織、大丈夫だよ。俺が側に居るからな…伊織は俺だけ見てればいい。俺だけ…」 独り言。だけど、伊織にそう言い聞かせるように、頭を撫でながら微笑んだ。 側で見守ってるつもりが、いつの間にかそれは独占欲に変わって…そして、恋になった。 男に惚れる趣味は無かったはずなんだけど…。何でこうなったんだろうか。 伊織は強いけど、弱い。 いや、弱くなってしまった。 だから俺が側に居ないとダメだ。側で守ってやらないと。 だから俺だけを見てて欲しい。 守ってやるから…俺の気持ちに答えて欲しい。俺を好きになってほしい。 そんな、自分勝手な考えは良くないと思ってるのに…この想いは止められない。
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