真白学園腐女子の会

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「俺達も帰ろっか」 慌ただしく帰る吉野くんを見るのはこれで2回目か。あの子ほんと忙しいよね。 ま、そんなことより…俺は早くセリフ覚えなきゃなぁ…。ああもう不安しかないや。 「明日からやっと伊織を独り占め出来るな」 何か隣でボソっと嫌なことを言った気がするけど聞こえないフリをしよう。 独り占めって発言が…奏の口から出ると超怖い。まじで。 奏ってあれだよね。 好きな人を監禁しちゃうタイプだよね。閉じ込めて…自分だけしか見せない的な? あ、ちびりそう。 「明日の劇が成功するように…今日はゲン担ぎしよっか!」 「どうやって?」 「今晩は豪華なご飯にする!」 やっぱ和食がいいよなぁ。俺が好きってだけだけど。THE和食!ってのにしよう。 和食は日本人の体に合ってて、健康にも良いんだってテレビで誰かが言ってた。 和食を食べる人の方が長生きするって。 「魚に高野豆腐に茶碗蒸し、味噌汁…お漬物!地味だけど豪華!どう?」 「鯛の尾頭付きとか?」 「いいね!じゃあ鯛を買いに行こう!」 俺の中での贅沢ご飯はこの組み合わせだ。和食が良い。1番良い。 あとは…寿司とかちらし寿司とか。 和食っていいよな…美味いし色合いも素敵だし美味いし、美味いし…。 「じゃあ今日は商店街の魚屋さんに買いに行くか!あそこ超美味い魚ばっかだぜ!」 興奮してだんだんと口調が爽やかじゃなくなってきたけど…そんなのどーでもいい! 魚、魚! 「俺の華麗な魚捌き見せてやるよ」 「はいはい」 「ちょっとくらい興味持てよなー。奏も好きだろ、俺の作る飯!」 「伊織の全部が好き」 「………あ、今日楽しみにしてたドラマの日だ!一緒に見ようぜ」 「なに、誘ってるの?」 奏との会話が成立しない苦しみに必死に耐えながらその日は過ごした。 こういう時に吉野くんが居てくれたら…きっと奏を黙らせることが出来たんだろうな。 はぁ…。
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