とても好きな、あの人

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『こっち、来んな…』 『何で?こんな機会めったに無いのに』 『るせ…』 こんなに無防備な姿…襲うなら今だって思うのに、それを拒まれる。 きっと、伊織なら押せば流されてくれるんだろうけど…それは違うとも思う。そんな葛藤と戦っている俺。 劇が終わってから、伊織を連れて寮まで戻ってきた。まだプルプルと震えて、体が言うことを聞いてくれないみたいで、力の入らない腕で優しく俺を押してくる。 ベットに押し倒した大勢で、顔もすごく近い。 『伊織…俺のこと、嫌い?』 『友達としてなら…好き』 『そういうことを聞いてるんじゃない。分かってるだろ?』 そう唇を近付けると、伊織は抵抗しながらも…そっと目を閉じる。 伊織は分かってるんだろうか。それはOKの合図になりかねないってことを。俺の気持ちを弄んでるんだってことを。 『伊織、本当に嫌なら…もっと抵抗してよ。諦めるから』 そう言ってキスをすると、伊織はトントンと胸元を叩く。苦しいからなのか、嫌だからか。ゼーゼーと合間に必死に酸素を取り込む唇にまた欲情して、何度も何度も唇を奪う。 『かなで…や、だ』 『じゃあ早く引きはがしてよ。俺はもう我慢出来ないから…伊織が突き飛ばしてくれないと止められない』 唾液でキラキラと光る唇。涙で潤んだ瞳。苦しさからか、真っ赤に染まった頬。こんな可愛い伊織を前にして止められない。 零れ落ちる涙を見ても、プルプル震える体に触れても、それにさえ興奮してしまう。 今は、俺だけを見てる。 俺だけを映してる。 『早く止めて…本当に、止められなくなる』 そっと服に手を掛けていく俺に、伊織はビクリと震えて…俺の本気を感じ取ったのか、嫌だ嫌だと首を振りながら涙を流した。 『まんざらでもないくせに…』 『あっ、や…ん、ひあっ』 可愛い伊織の声を聞いて、俺の理性は音を立てて勢いよく崩れた___。
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