とても好きな、あの人

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教室の開いた窓から顔を覗かせて、ニヤリと笑ういじめっ子3人。そのいじめっ子3人にも地位がはっきりしてる。 ボスの一郎。一郎に媚びる次郎。喧嘩バカの三郎。 名前…教えてもらったんだけど忘れた。 一郎はどこまでも卑怯な奴で。漫画とかに出てくるいじめっ子そのもののキャラだった。モブキャラとかだったら良かったのに…。 俺と喧嘩して、そのまま近付いてこなくなってたらモブの仲間入りだったんだろうけどね、残念なことに…優位だった俺の立場は逆転していた。 「せんぱーい。いいんですかー?」 席に座り続けたままの俺に、とうとう一郎が手に携帯を持って手を振りながらニコニコと笑う。そんな一郎を見て、はぁ…と溜め息を吐いて立ち上がった。 「せんぱい。どこ行きます?俺、お腹すいたんですけど」 「じゃあ食堂に行こうか」 「でも俺お金ないんすけど」 「………俺が奢るよ」 カモるつもりなら初めから言えよ!食堂で飯奢れって!このクソガキが…!ぶん殴ってやりたい。まじで。 俺の後ろを着いてくる奏は、俺がカモられていても何も言わない。というより、何も言わないように言ってある。 一郎が振っていたこいつの携帯には…俺が喧嘩して、容赦なくボコってる動画が入っていたりするのだ。 『もう1年間もいい思いしたんだし、バレてもいいんじゃないの』 そんな恐ろしい事を言う奏にはもちろん手出しさせないよね。もう1年じゃない。まだ1年しかいい思いをしていない。 むしろ最近は女の子と話す度に魔王が降臨するからとてもいい思いをしてるとは言えないんだよ…!それなのにこんなところで、せっかく作った爽やかをぶち壊しにされちゃ困る! 「先輩。俺も腹減った」 「なんでも食べて…」 三郎までもが俺をカモり始めた。こいつは、確実に一郎よりも喧嘩が強い。中学の頃、よく遊んでた友達と同じくらいかもしれない。 それでも、そこで番張ってた俺よりは弱いけど。てか、こいつまだ食うのかよ。 お前…手に焼きそばパン持って頬張ってるけど。それは何…?俺の幻覚かな?
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