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「せんぱい今日もゴチになります!いやぁ…ほんと、助かりますよマジで。いいせんぱいを持ったなーって、毎日思います」
とてつもない満面の笑みを浮かべるのはいいよ一郎。良い先輩じゃなくて、良いカモを持ったっていいたいんだろ、そうなんだろ一郎。
学園で有名な不良と一緒に居るからか、休み時間に来る女の子の数が劇的に減ったし。
この1か月でお金も女の子も減った。
「奏君、今日もかっこいいねー」
「市川君と一緒にご飯を食べれるなんて…幸せ」
来るのは周りを気にしないタイプの女の子ばかり。奏はいつも通り、ふーん。なんて会話にすらならない返事を返してるし。
俺の目の前に座る女の子は、ただただ俺が食事するのを笑顔で見ている。食べにくい…。
「先輩って、本当にモテるんだな」
そう、三郎が辺りを見回すのと共に俺も周りを見ると、俺達のまわりだけ混んでいた。奥の方は空いてて、男しか居ない。まるで男と女で場所が分かれてるみたいに見える。
それは仕方ないことだ。
だって俺は王子様だし。奏はカッコいいから。
「俺は大人しくて、もっとスカートの長い、細すぎない女が好きなんだけど。先輩ってどんな女が好みなの」
定食を頬張りながら、一郎とは違って嫌味のカケラも混じっていない疑問に、俺は首を傾げた。
可愛い女の子。胸の大きい女の子。ネチネチしてない女の子。後腐れなく遊べる女の子…
やばい。俺の好み最悪だ…。
どう答えればいいのか分からなくなってると、奏が口を開く。
「伊織は昔の人みたいに、一歩下がって着いてくるような…奥ゆかしい女の子が好きだよ。でしゃばらずに、見守ってるような、大人しい女の子」
「へぇ…まあでも、分かるかも。最近の女は肉食系ばっかで面白味がねぇよな。ガツガツ来られると逆に引く」
奏の言葉に相槌を打つ三郎。
いや、俺はむしろ明るくて…友達みたいに一緒に盛り上がれる女の子が好きなんだけど…
これも奏の作戦だったらしく…この日から、俺の所に来る女の子が更に激減したのはまた別の話。
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