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体力も限界になってきたところで、走りながら奏が追いかけて来てないか振り返ってみたけど、誰も居なかった。
「よか、った…!」
あの魔王がもし追いかけて来てたら、絶対半殺しの刑にされてる…。いや、結局は後でなにかしらの報復はされるんだろうけど。
告白を拒否して走り去って来てしまいましたもの…想像するだけで恐ろしくグロテスクな光景しか目に浮かびませんわ…うふふ…
気のせいだと思いたいけど、確実に流れている涙を拭いながらやっとのことで立ち止まった俺。今日は寮に帰るのを止めようか…
「つーかまーえたっ!」
「………!?」
安心したのもほんの一瞬で。
後ろからとんでもない力でギュッと抱きしめられて、思いっきり体が飛び跳ねた。むしろ心臓止まるかと思った。一瞬息が止まった。
走ってきたからただでさえ心拍数がすごいことになってたのに、そこに衝撃を与えられると心臓ってマジでおかしくなるんだね。
比喩法とかなんでもなくて、心臓が止まりそうになるし、息もマジで止まってホントに声も何も出なかった。
ゼーゼーと息切れしたまま振り向くと、そこには…名前の知らない先輩が居た。
「え、っと…誰でしたっけ…?」
「ひどいなぁ…あんなに愛し合った仲なのに」
すみません。全く記憶にございません。というより、覚えてはいるんだけど、名前を教えてもらった記憶がない。
前、担任の先生に頼まれて社会科室に行ったときに…何故か突然襲ってきた先輩だ。あの忌々しい先輩。
奏が蹴飛ばしてくれたから助かったけど…あのまま来なかったら最後まで犯されてた。そんな記憶が蘇る。
「ちょっと…離してください…」
「やだよ。恋人なんだよ?照れないでよ」
いつ誰と誰が恋人になったんだよおい!しかもやっぱりこの人バカ力すぎて離れないし…!ここ廊下だぞ…!
また泣きそう…。
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