とても好きな、あの人

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「陸。食堂行かないのか」 「だってコタちゃん…こんな可愛い子より美味しいオカズはないよ?」 おい、なんて会話をしてんだこの先輩達は。やめろ。俺はオカズじゃない…! てか、知らない先輩がもう1人増えた。とてつもない無表情の男の人。 コタちゃんと呼ばれたその人は、俺を見て首を傾げる。 「どこが?」 おいおい。別に美味しく見られたいワケじゃないけど、そう淡々と言われると逆にショックだわ。 「分かんないの?この整った顔…鳴かせたらとんでもなく色っぽい表情になるよ、きっと」 「陸より?」 「俺より。なんなら試してみる?」 ちょい待てい。 どこか感覚のズレた会話をしてるってことに気付いてんのか、この先輩達は。 俺の解釈が会ってるなら、この2人…濃厚なド下ネタ喋ってるよな…? 「だから食堂で一緒に食べようか。定食とか乗せて…男体盛りしたい!」 「は…え…?ちょ、ちょっと先輩…冗談はそこまでに…」 「えー?なにー?聞こえなーい!」 ケタケタと爆笑しながらも、全力で俺の腕を掴んで離さない先輩に、俺は為す術もなく…。 コタちゃんと呼ばれた先輩に視線を向けてみても、俺と目が合うことは無い。 俺は2人の先輩と、逃げて来たばっかの現場へ逆戻り…。隣には変態先輩…食堂には魔王…。 「もう切腹しか道は無いでござる…」 「ん?何か言った?」 「いえ…何も無いです…」 潤んできた視界を晴らすために必死で涙腺に力を入れながら…俺はそのままグイグイと引っ張られて、もと来た道を戻って行った。 抵抗しようものなら、そのまま骨でもへし折られるんじゃないかってくらいの握力にビビりながら。 「あー。初めてだなぁ…コタちゃんと3P…あはっ。楽しみだなぁ…」 速報。 変態先輩の独り言が超怖い件について。 誰か助けて下さい。
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