1993人が本棚に入れています
本棚に追加
神様に必死に助けてください、ってお願いしたけど…こんなちっぽけな俺には慈悲も何もなく…。
変態先輩に腕を掴まれたまま、魔王様の滞在地…食堂の入り口が見えてきた。
「あの、先輩…ホントに勘弁してくれませんか…」
「やだなぁ…名前で呼んでよ。これから深い関係になるんだし」
ならねぇ…てか名前も知らねぇ…変態という以外の情報は俺の中に無いんだけど。もう本当にマイペースすぎるよこの人。思い込み激しすぎる。
「え、っと…お名前はなんと…?」
「あれ?知らなかったの?俺は高木 陸。こっちは俺の友達の吉田 虎太郎。コタちゃんだよー」
「……よろしく」
よろしくしようと思ってる人とは到底思えない顔でよろしくって言われてもなぁ…怖いな、この人。真顔すぎる…。何を考えてるのか分からない…。
ヤることしか考えてないのが丸分かりな高木先輩とは真逆だ。何で友達なんだろうって思うくらい。
「よろしくお願いします…高木先輩、吉田先輩…」
「えー!かたいよー!俺の事は陸って呼んで。コタちゃんは、コタちゃんで!」
「じゃあ、陸先輩と…コタ先輩で」
俺の言葉にブスッとしてるけど、先輩を呼び捨てなんて出来ないっての…それがたとえ今から俺を犯そうとしている人だとしても…。
後で隙を見て逃げる予定だし…逃げれたら。
もし先輩から逃げられても、魔王様から逃げられる気が全くしないけどね…あはは…。死にたい。
「もー。でも、先輩って呼ばれるのも萌えるからそれで許してあげるよ」
萌えるポイントが分かりません。
なんて会話をしている間に、食堂に着いた俺達。パッと目に入ったのは、俺を見ている…嘘。ものすごく睨んでいる魔王だった。
「さーて、どこで公開プレイしよっかなー?」
呑気な先輩とは裏腹に、どんどん顔が暗くなっていく魔王様は…音もなく立ち上がると、スタスタと一直線にこっちへ歩いてくる。
怖い。俺、おしっことか漏らしてないかな。
漏らしててもおかしくないホラー体験なうだよ。数分後には四肢のどこかがなくなってたらどうしよう。
最初のコメントを投稿しよう!