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「先輩。今の人何ですか?」
「さぁ…何だったんだろうね…?」
呆然と一郎達が去っていったのを見ていると、今度は三郎が話しかけてきた。そしてその隣には二郎。
二郎…お前、存在感なさすぎるよ。
一郎に媚びてる時だけだよ存在感あるのは。髪の毛もボサボサだし…何でいじめっ子してるんですか、ってくらいの…いじめられっ子容姿。
「俺も行かなくていいのかな…」
「は?行く必要ねぇだろ。俺が居るだろ?お前はそろそろあいつの腰巾着すんのやめろよ」
「いや…でも…」
「うるさい」
何か…うん。二郎がまともに会話してるの初めて聞くかもしんない。
いじめっ子してる時は超スネ夫キャラなのに、一郎が居ないとそんな感じなんだね…。
「じゃ、あいつも居なくなったことだし。楽しみが無くなったんで俺ら帰りますね。昼飯ごちそうさまでした」
「あ、うん…どういたしまして」
淡々と。三郎はマイペースにその場を去っていくのに続いて、二郎も帰って行った。
三郎…あんまし悪い奴って感じはしないな。あいつなら、そろそろ名前を覚えてやってもいいかもしれない。
野次馬達も帰り始めたし…時間を見れば、もう昼休みが終わろうとしていた。
そろそろ俺たちも帰ろうかと、奏に握られている手を引っ張ってもビクともしない。
「さてと。俺たちも帰ろうか…」
「そのつもりだったんですけど…。え、なに?」
怖いんだけど。
いつも通りの無表情。だけど、周りに漂っているオーラが黒い。こういう時の奏は、良からぬことを考えてる時だ。
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