とても好きな、あの人

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「あの…帰るって教室ですよね魔王様…?」 「調教部屋」 「どこ!?」 「うるさい」 「痛い痛い痛い痛い痛い…!」 握った手をギリギリと音が鳴るくらい握られて涙目になっている俺に、虫ケラでも見るような冷たい目で見てくる奏。 超怖い…。 暴れれば暴れる程強くなる力に、もう抵抗しないから許して下さいって全力で頭を下げたら緩めてくれた。 本当に、この魔王は馬鹿力すぎて困る…。 少し強めに握られた手を引かれて、俺たちも無言のまま食堂を出る。 教室とは間逆の方へ歩きながら。 いつもよりも少し遅く歩く奏に、ゆっくりと地獄へ向かってる気がして… 「ここで泣き叫んだら逃がしてくれる?」 なんて、ダメ元で聞いてみたら 「どうせ後で泣き叫ぶのに?」 と、返された。 「…今、なんと仰いましたか?」 そう言っても、奏からの返事はない。 そこからまた無言になって…。抵抗すると痛いし、だからって着いて行っても泣き叫ぶ事になる…って、これ… 高校2年。俺の人生はここで終わるのか。 「奏…俺のこと好きなんだよね?」 「愛してる」 「…じゃあ、俺が嫌がることとかは…しない、よね?ね?」 「嫌がる顔も好き」 ダメだこいつ。 何言ってもダメだよ!俺どうなっちゃうの!?調教部屋ってどこ!?何で真顔なんだよ奏さん!! てか調教って何。 マニアックなAVとかしか連想出来ないんですけど…?しかも、とてつもなく過激な方の。 「何したら許してくれる…?」 「泣きながら上目遣いで俺を求めて俺に犯して欲しいって懇願したら許してあげる」 それ絶対許してくれても行為に及ぶやつだよね!分かるよそのくらい!! もうダメだ…。 母上、父上、先に天へ旅立つ事をお許し下され…。私は、ずっと天から見守っておりますぞ…。うう…。
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