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「ホント、伊織は俺を弄ぶのが上手いよな」
「俺にとって奏ほど扱いにくい奴はいないと思ってるけど…」
何を言っても殴る、蹴るの暴力…俺に奏をうまく扱えた事なんてゼロに等しい。
今では俺を恋愛対象として見ちゃってるから本当に困ったもんだ。
しかも、嫉妬って感情を体に乗せて全力で暴力振るってくるんだから、たまったもんじゃない。
「ヤンデレの取説とかあればいいのに…」
「俺だけを見る。それが唯一絶対の攻略法だと思うよ」
ちくしょう…!見たことない爽やかな笑顔見せやがって…!俺より上手いじゃんかよ!
まあ、なんだかんだ言って奏は俺が本当に嫌がる事はしないから、根はすごく優しい。
「充分、奏と一緒に居ると思うけど。てか、奏としか一緒に居ない気もする」
「目を離すとすぐ厄介ごとに巻き込まれるからだろ。昔から。喧嘩喧嘩喧嘩…すぐ喧嘩。今は変な男に絡まれるし」
何も言い返せないじゃないか。
確かに、中学は毎日のように喧嘩してたし、今はホモばっかりに絡まれてる。
事実を突きつけるんじゃないよ!
「ったく…お腹空いた。何か作って」
「かしこまりました…」
カチャカチャと音を鳴らしながら、やっと開放された俺の腕。
ああ、真っ赤になってる。
「少しは危機感持てよ。王子…なんてもてはやされて、調子乗ってるから襲われるんだよ」
ばーか。なんて、意地悪な顔してデコピンされた。地味に痛いっす。
調子乗ってるわけじゃないけど、俺の巻き込まれ体質は自覚してるよ、ちゃんと。
「俺の美貌は男にも通用しちゃうんだから仕方ないじゃん」
「伊織の良さは俺だけが知ってたいの。だからそれ以上優しくすんな。馬鹿な所だけさらけ出せばいいの」
そんな残念なイケメンやだよ…完璧でありたい。そして可愛いお姫様みたいな彼女が欲しい!
そろそろこの努力が報われてもいいんじゃないかって思ってるのに、邪魔者魔王様は許してくれなさそうだ。
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