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「別に俺が王子で奏がシンデレラでもいいじゃん」
「伊織の方が可愛い」
答えになってねえ!
手渡された台本を見ると、腐女子の時の劇と同じような量のセリフ。また徹夜で覚えて台本通りいかない…なんてことにならないだろうな?
ぱらぱらと読み進めていくと、喜ばしいことにキスシーン無かった!そうだよな!普通無いよな!
学校でやるだけの、ただの劇だもんな!
奏にかかればアドリブで入れてきそうなのが怖いけど。
正面にある黒板を見ると、配役が書いてある。佐々木君が義理の姉で…継母が…斉藤くん!?
「え、斉藤くんが継母!?」
「っち…また伊織と近いキャラかよ」
魔王が降臨してる奏は放っておこう。むやみに話しかけると、絶対何かしらの罰が下っちゃう。
俺達以外はくじ引きで決まった配役だけど、この配役に全く意義を唱えない斉藤くんはすごいなぁ。俺とは違うな…寝てるだけだけど。
これ、起きたらどんな反応するんだろう。
「今日からHRは文化祭の準備になるから、道具とか持ってきとけよー」
担任の言葉の後に鳴るチャイム。
週1回ある1時間のHR授業は、これから文化祭。ちゃんとセリフ覚えないと前の二の舞になっちゃうな。
ものすごーく覚えたくないけど。
「王子のセリフ少ないから、覚えるの手伝ってやろうか?」
「配役代われよ!」
「嫌」
ちくしょう!
こうして、俺達のクラスの出し物はシンデレラとなりました。
ガラスの靴で王子を殴るENDとかだったらいいのに…。
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