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「ねえ…何があったの」
前とは全く違う二人の様子が気になって、ひよりちゃんに事情を聞いてみると、どうやら発端はいつもと変わらず…いじめっ子達がひよりちゃん達に絡んだ事から始まったみたい。
それで吉野君が止めに入って…殴り合いになったらしいんだけど、いつもと違って、今回は吉野君のパンチが太郎に当たったらしい。
太郎の逆鱗に触れて…つかみ合いになった所に俺たちが来た…と。そういうことらしい。
吉野君はいつも通り怒り狂ってるだけで、今回はそれに加えて太郎までもが怒ってると、そういうことか。
「さっきはよくもやってくれたなぁ。今日は容赦しねえぞ」
「俺はお前らがひよりちゃんに関わらなくなるまで追い続けてやる」
なんて言いあった後、またもや殴り合いに発展してしまった。いつも通り野次馬が群がりはじめ、誰もが傍観者となっていく。
一発当たったくらいで太郎に勝てるはずもなく…どんどん吉野君の傷が増えていくってのに…止めたくても止められない俺もいた。
「離してよ奏」
「もし、また伊織が殴られたらどうする」
「殴られるなんて日常茶飯事だっただろ?」
「今は違うだろ。伊織が殴られたら、俺はこの場にいる全員を叩き潰すぞ」
こんな状況にした奴ら全員な。と付け加えた奏の目がマジだ…。前々から分かってたことだけど、俺への執着心の強さがあり得ないレベルだよね…。
絶対に離してくれそうにない馬鹿力で俺の腕を掴んでくるから、振りほどくには奏と一勝負しなくちゃいけないんじゃないか、これ。
「このままじゃ吉野君が…」
「あんな奴放っておけ。俺の伊織に手を出した罰だ」
「別に俺は何もされてないだろ」
「伊織は知らなくていい」
え、何?怖い。
俺の知らないところで俺絡みの喧嘩でもしたの?でも、俺のために争わないで的な決めゼリフとかちょっと言ってみたい。
「俺ってば…罪な子…」
「何楽しんでるの。このまま腕引き千切るよ?」
「痛いごめん痛い、痛いっ」
ちくしょう…この暴君め…
いつか復讐してやる…!いつか…!いつか…倍返しされそうだけど…いつか…やってやるもん…。
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